経皮吸収について

経皮吸収 : 物質が皮膚から浸透し、体内に吸収されること

■界面活性剤は、皮膚を通して体内に浸透する!
 経皮吸収を説明する前にここで簡単に皮膚の構造について触れてみましょう。皮膚はご存知のように表皮、真皮、皮下組織と3つの層に分かれています。そしてそれらを総じて皮膚と言っています。
 表皮も角質層、透明層、顆粒層、有棘層、基底層と非常に薄い部分ではありますが5つの層に分類されそれぞれが独自の営みを持ちながら表皮全体が機能しています。皮膚の「サイクルは約28日間」と言われるのはこの表皮の生理機能を言っているのです。
 また、「バリアゾーン」という言葉をよく耳にします。これは皮膚にとって異物となるものの浸透を表皮自体が防御機能として働きそれを防いでいるということなのですが、界面活性剤はこのバリアゾーンを通過して真皮の層から血液に浸透し体内に吸収されてしまうのです。
 表皮には水の層と油の層があります。元来、混じり合わない水と油を乳化させる成分である界面活性剤はこの表皮のバリアゾーンを簡単に通過してしまうのです。
 このように、皮膚を通して体内に吸収されることを経皮吸収と言います。医薬品などもこの経皮吸収を利用した商品がいくつもあります。これに対し口から体内に入ることを経口吸収と言います。

■薬液と混じり合うことで化学反応を起こす!
 パーマ液やカラー剤を扱う理美容師さんの健康面から見た場合この経皮吸収について良く考えてみなければならない点がもう一つあります。それは、薬液とシャンプーやリンスに含まれる成分が混じり合うことで起こる化学反応の影響についてです。
 これは、今から数年前に専門の研究機関で調査された結果ですが、薬液とシャンプーやリンスに含まれる成分とが化学反応を起こし、環境ホルモンとして人体に有害な影響を与えるダイオキシンが発生するということがわかったのです。
 常識的にダイオキシンは、高温燃焼時(ゴミ焼却場など)に発生すると考えられておりますので日常の薬液を使う施術で発生するとは考えにくいのですが、繊維の染料がダイオキシン発生の原因になっているという事実からも発生が高温燃焼時だけではないということが十分考えられます。薬品同士の化学反応によって作り出される環境ホルモンは、人体や自然環境に大きな影響を及ぼすだけではなく孫の代になってはじめてその影響が現れると言われています。
 ドイツの「環境ダイオキシンリスク調査」によりますと人種の違いにもよりますが、皮膚に塗ったダイオキシンは平均30%が体内に吸収されるというデータが出ています。シャンプー、リンスの界面活性剤の働きで経皮吸収されやすい環境を作り、それに含まれる成分と薬液が化学反応を起こしダイオキシンが発生する。たとえ微量であっても、毎日扱う理美容師さんにとっては微量毒物の慢性毒性という意味で大きな問題になってきます。
 化粧品は、裏面表示を見てみるとさまざまな添加物の組み合わせで作られていることがわかります。シャンプーやリンスなどの化粧品を全成分表示を注意して良く見ることで選んでいかなくてはなりません。毎日使う製品だからこそ慎重に選びたいものです。